非侵襲的心血管画像診断領域
1.心臓核医学部門
本学は特に旧第二内科を中心として伝統的に心臓核医学が盛んであった。過去には日本の心臓核医学の草分けの一人である足立晴彦先生、杉原洋樹先生などの活躍があった。心臓核医学会の理事長まで務められたある先生にとっては足立先生はまさにアイドルであり足立先生に憧れて心臓核医学を始めたとお聞きし、後輩として大変嬉しく思ったこともある。さらに放射線科には草分けの一人である西村恒彦教授も在籍しておられたためその伝統は守られていたと言って良い。
だが、DPC移行、冠動脈CTなどの新しいモダリティの台頭のため心臓核医学の凋落が激しく、どの病院でも最盛期の半分以下になっているのが現実である。しかし核医学でしか得られない情報はいまだに存在する。 我々はPCIを中心とした研究会などでも積極的にRI検査の有用性や上手な使い方を指南している。当科ではRIの負荷検査は若手の循環器医師にお願いし、その読影も含めて筆者指導の下経験を積んで頂いている。また、若い循環器科医の教育のため最近5年の間、心臓核医学会京滋地区の研修会の講師を務めさせて頂いている。最近では半導体カメラも上梓され心筋の血流や心機能の評価、flow reserveの評価など、心臓核医学はまだまだ発展する余地があり興味があるかたは是非当院での研修をお勧めする。
急激なBNP上昇で入院しBMIPPにてLAD領域のdamageが証明された不安定狭心症の一例
心臓核医学学会京滋地区研修会案内
2.心血管CT部門
心血管のCT検査についての近年の進歩は冠動脈 CTが盛んになってきていることが挙げられる。当院では昨年Toshiba社製320列MDCT装置が導入され日々の臨床に活躍している。多列であるために1心拍で冠動脈CTの撮像が可能であり被曝線量の軽減、息止め時間の短縮や心房細動などの不整脈症例での美しい画像の構築に寄与している。Zio workstationの導入により冠動脈CTと心筋RI検査とのFusion imagingも可能となり、専門家でなくとも一目瞭然の診断が可能になっている。
冠動脈CTの弱点は石灰化やstent内部の冠動脈内腔の評価が困難な場合があることであるが当院の320列CT装置では石灰化やstentのsubtructionが可能である。全症例に可能とは言えないが今後さらに検討を重ねていく予定である。
前(左図)は石灰化とstentにて内腔の評価が不可能だがサブトラ後(右図)では冠動脈内腔の可能が可能である。
他には心血管系のCT検査は当院で多数施行しているASDの閉鎖術や経皮的大動脈弁治療(TAVI)においては必須のデバイスとなってきておりすでに臨床の場で利用されている。研究面では心臓血管外科との共同でCTによる肺動脈の形態による血流解析も開始している。今後開始予定の検査は造影CTによる心筋のPerfusion評価である。Toshiba社製のCT装置では他の装置よりも心筋perfusionがしやすい。RI検査による評価との対比など検討していきたいと考えている
3.心血管 MRI部門
最後にMRI検査であるが最近は心筋Viability評価にMRIの遅延造影が有用と言われており、当院の心臓血管外科ではCABG前にルーチンに心筋の遅延造影検査を施行している。また、肥大型心筋症や心サルコイドーシス、心アミロイドーシスなどの二次性心筋疾患でも有効であり日常臨床で使用されている。
非侵襲的な心血管の画像検査は近年最も進歩の著しい分野であるが、まだまだ発展の余地がある。当然臨床研究の対象としても当教室は力を入れていく予定である。興味のあるかたは是非我々と一緒に学びましょう。
(文責:松室 )