臨床研究グループ

心血管Intervention領域 末梢動脈病変治療(EVT)領域

概要:
近年末梢血管病変(PAD)に対する治療は デバイス及び手技の向上により、各施設では積極的な血管内治療が施行されおり増加傾向にあるが当院でも飛躍的に症例数が増加しており、今後益々増加すると考えられる。当院では大学病院の特色を生かし、心臓血管外科、皮膚科、糖尿病内科、膠原病内科等の各科の協力の元、患者の症状やニーズに合わせた治療法を選択し, よりよいPAD治療を供給することを目指しています。

心血管・末梢動脈病変治療

症例の内訳は最近3年では以下のようになっている。

心血管・末梢動脈病変治療

当院におけるEVT治療の特色としては

  1. 血管再生治療とのコンビネーションによる統合的治療
     他施設で下肢の血行再建術を施行しても、再狭窄のために重症下肢虚血(CLI)になり切断の危機に瀕している患者様が紹介されることが多く治療に難渋することが多いのが事実です。どこまでEVTで行くかといった見極めは大変難しいものですが、当教室では血管再生で培われたCLI治療の経験から適切な治療法を選択することができます。他施設でこれ以上はInterventionが不可能とされた場合でも当院では可能な場合もあります。また、症例は限られますが 一時的にでも下肢の状態を良くした上で血管再生を施行するほうがさらに救肢率が改善する場合もあります。 右側の心臓が弱ることで、むくみが出たり体液貯留(胸水、腹水など)が出現したりするため、負担を減らすために場合により体液容量を調整する利尿薬を投与します。
  2. 大学病院の利点を生かした各科との連携
     上記のように血管再生治療を施行しているためCLI症例が多く紹介されてきますが、なかには膠原病を原因とした症例なども多く見受けられ、膠原病内科との密接な連携を行っています。その中にはステロイド治療や糖尿病などの合併により 阿蘇を合併している症例も少なくありません。そのような症例には 太い血管の部位にはPTAをして、不十分であれば血管再生といったオプションが利用可能です。またCLI経験の豊富な皮膚科との連携で局所の適切な管理が可能です。
  3. 積極的なリハビリ介入
     当院のリハビリセンターは心臓血管に造詣に深い白石講師が指導をしています。また、勉強熱心なPTさんも多く在籍しておられ他施設とは一味違った結果を生み出しています。
  4. CO2造影を使用した造影剤使用軽減の工夫
     当院では4年前から矢西医師らを中心に腎機能障害を持つ患者様のPTAなどに積極的にCO2造影を使用しヨード造影剤の使用を減らす努力をしております。 これは下肢のPTAに限らず腎動脈狭窄治療(PTRA)に対しても使用可能で、腎動脈狭窄により腎機能が低下した症例に対しても安全に治療が可能です。症例によっては、CO2とIVUSを利用して1滴も造影剤を使用せずに治療に成功しています。
心血管・末梢動脈病変治療

末梢血管にたいする治療は今後さらに飛躍的に症例数は増大していくと考えられ、当院は重症四肢虚血治療のセンター的な役割が期待されています。

(文責:松室 )
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